出席者：HFC　児玉社長、三上強化担当、石井部長 司会：US 佐々木氏

児玉社長からの挨拶・説明・回答：

１）12/2の話し合い以降に起こった動きについて説明：

• 監督人事について、12月初めに一人の候補者に絞って就任要請を行った。回答は頂いていないが、確かな手応えを得ている。天皇杯終了後に公式発表となる。
• 現在は選手の契約更新中。こちらも順調に推移している。
• 来期は、新監督の下、これまで育ってきた若手、ベテラン、そして新しい外国人の3者が一体になって、新しいコンサドーレがスタートすることになるであろう。是非期待していただきたい。

２）事前にUS側より提示された「３つの質問」への回答：

• まず私（社長）の方から答え、サッカーの技術的な点については、強化担当の三上よりお答えする：

• 2-1）事前質問１:ヤンツー体制3年間の総括（どの様に評価しているのか、達成できた部分、達成できなかった部分は？）
• A（社長）: 2004年よりはじまったコンサドーレ札幌強化計画に基づいて、第3ステップまでの3年間が経過したと捉えている。この間、柳下監督の下、着実にチームの実力は付いてきた。強化計画に基づき、育成型のチームも出来ているし、若手選手の台頭も評価できる。柳下監督の下で３年間を過ごしたコンサ札幌は、果実を産み出したたといえる。
• 但し、3年目となる今シーズンについては、クラブ、監督共に、シーズンの目標としてJ１への昇格を明言しながら、達成できなかったことは、HFCとしても残念。この３年間を踏まえながら、柳下監督が育てたチームをさらに発展させていきたい。

• 2-2）事前質問2:来期以降の方向性（札幌の目指すチームコンセプトはどの様なものか、これまでのサッカーはどの様に継続されるのか、新監督にはどの様なサッカーを期待してオファーしたのか）
• A（社長）: 今後もコンサ強化計画（5段階計画）に沿って動く。内容を再度説明する：
  • 財務状況の改善。昨年、債務超過を4千万まで減らせたが、今年は1億4千万ぐらいの赤字が出た（天皇杯に関しては現在賞金2千万を得て、300万強の黒字）。
    • 継続可能なチームの運営を目指す。以下の3点が柱：
      • 地元選手の育成
      • 効率的で納得のいく選手強化
      • フロントの安定的な評価
    • 2003年は、会社の解散まで視野に入った中での5段階計画の作成。現在継続の見通しは付いた。今年赤字にはなったものの、当初5億強あった債務超過は3億ほど減らせた
  • コンサドーレの文化を継承しつつ、明確な企業理念を再認識する。以下の２点が柱：
    • 日本一と呼ばれるサポーターの存在。それは最近の天皇杯でも示されている。
    • 青少年の健全な育成。様々な形で地域貢献、社会貢献をしている。この方向については間違っていないと考えている。
  • 夢の実現に地域が一丸となる。
    • 一例として、天皇杯を勝ち進むことで、各スポンサー、企業が、コンサドーレの露出を増やすなど、一体となって盛り上げようとしてくれている。理想的なクラブチーム作りになっていると考えている。
• 以上のことを土台にしながら、来期以降もこれまでの三年間の成果を元にしながら、更に発展させていきたい。
• 質問の中にあった「これまでのサッカーはどの様に継続されるのか」といったサッカー論については、三上より説明させる。

• 2-3）事前質問３:来期の目標（社長／会社としては「昇格ありき」の考え方なのか？）
• A(社長)：来年に向けて強化計画を元に中期計画を策定。そこに５つの夢を掲げた：
  • J1昇格の早期実現、リーグ優勝を視野に置く
  • 育成型のチーム作りを堅持、ユース強化
  • 累積債務の解消、経営基盤の安定
  • 市民型クラブに徹し、総合スポーツクラブをめざす
  • 北海道のスポーツ振興、地域活性化に寄与する
• よって、J1昇格は来期の目標とする。

• 質問のあった3点について概略的に回答した。詳細については三上より回答する。

三上氏の挨拶・説明

• これまで自分自身がサポーターと直接話す機会は無かった。今日の場を借りて、強化の考え方を皆様にも分かっていただきたいと思うし、サポーターの思うことも聞きたいと思う。
• （山形での社団法人設立に参加した過程、その後1999年7月より地元である札幌で働くに至った過程、また数名の強化部長の下で働いてきた中で感じたことについて説明。指導者や選手の獲得、契約交渉の際に、コンササポの力が大きかったことについて言及）
• 5段階計画を作成した際に、強化部の一員として携わった。
• 5段階計画は、チームの強化と財政の両方の強化が両輪。
  • 具体的目標：J1で安定した戦いが出来るチームにしたい。
    • 目指す戦力：柔軟性のあるチームにしなければならない。
      • 一つの武器を持つことも大事だが、対戦相手、気候、自らのコンディションなどに合わせて対応できるようになること、そういった戦い方ができるようになることがJ1で闘うには必要。
      • 第1弾として、財政上の理由もあるが、若手を育てながら、実戦を経験させていく。
    • もう一つは、一つ武器、カラーを持ちたい。
  • 以上2点を目的として、監督および選手の選定に入った。カラーを作りたい、若手を育てたい、ということで、柳下監督にオファーした。何よりも、カラーを植え付け、若い選手に厳しく接してもらい、チームの土台を作ってもらうことが目的。
  • その結果として、若い選手らが育ってきている。但し、それが十分ではないことも確か。
• 但し、5段階計画自体は、その全てを当初から一人の監督に任せて、一つのことだけをしようとするものではないことを理解していただきたい。
  • まず一つの武器を持つ、その意味で、この3年間で攻撃という武器をチームに植え付けることは出来てきた。
  • しかし、今後チームに必要となる「自主性」、「柔軟性」を持つということについてはまだ出来ていない。
• これまでの成果の良いところ（攻撃力）を残しつつ、後者の課題を達成することを目標として、今後の監督およびコーチの人選をしているところである。
  • J2トップクラスの攻撃力がありながら、J2リーグ戦6位で終わった理由は、取りこぼしが多かったから。なぜか？
    • 選手が自ら考えて動くこと（自主性）が出来なかった。
    • 失点の多さ、これもチームとして改善しなくてはならない。もっとチームとして、戦術としての守備を構築しないと、柔軟性を持ったチームは作れない。
  • これらの条件を満たせる人（組織的な守備の構築について経験や実績のある人）を監督として迎えたいと考えている。コーチ陣についても、監督と同様、現在チームとしてのビジョンを示してオファーをしているところ。本来ならば監督のやりやすい人を選んで貰うという方法もあるが、クラブとしてのビジョンの下で、コーチ陣に求めることを監督に投げかけている。
• 若手育成も大きなビジョン。財政的、設備的にも厳しい環境の中で、若い選手を伸ばしたいと強い意志を持つコーチを選びたい。
  • 来期の選手層は、今年度闘ってきた選手をベースとして闘うことになる。そこに、新たな刺激・課題を与えることで、もっと伸びるかもしれないと考えている。コーチを選ぶに際しても、新しい風を吹き込む必要があると感じている。
• 以上の3点（柔軟性、組織的守備の構築、若手育成）を元に、コーチ候補者にオファーをしているところ。以上の内容を、選手達との契約交渉の場で伝え、同じことを今日皆様にもお伝えした。
• 監督・コーチ共にまだ誰も決まってはいないが、前向きに進んでいるところ。いま話したような（考え方の下オファーしている）方が最終的に決まれば、これまで3年間やってきたことに（上であげた課題の達成を）プラスして、来期を戦えるのではないかと考えている。

• 以上が、強化部が考えている、監督・コーチの選択およびチームの方向性、5段階計画のこれまでの経緯についてである。

（これより、参加者からの質問、質疑応答へ）

• Q１： J1昇格を目指すと言われたが、それはどんな方法であれとにかく昇格という結果のみを求めると言うことなのか?
• A（社長）：過去、「何が何でもJ1に上がる」という方針の下で、（チーム・会社の）傷を深めてきた経緯を受けて、5段階計画が出来た。よって、J1昇格は当然目標ではあるが、5段階計画に基づいた、育成型、J1で安定した戦いが出来るチーム作りが前提となった上での目標である。

• Q２: 三上氏の話で、「柔軟性のあるチーム」（の構築）という話があった。これまでの3年間で、「攻撃」については出来てきつつあることは皆理解している。次の課題が「守備」ということになり、報道等で次期監督の名前も出ているが、その監督（招聘）は「守備の立て直し」を目的とするのか？
• A（三上氏）: 決して守備を立て直すためだけの監督人事ではない。我々の持つ「攻撃」を更に活かすにしても、もう少し組織的な守備を構築した方が、結果的により攻撃の良さが出るはず（と考える）。決してこれまでのポゼッションサッカーを捨てて、守備ありきのチームを目指そうということではない。現在交渉中の次期監督候補者にも、「これまで3年間やってきた良い部分「攻撃」をより武器にするためには、より組織的な「守備」が必要であると考えるので、まず守備を立て直し、かつ今まで良かった「攻撃」をより一層の武器としてほしい。その上で「柔軟性のあるチーム」の構築に取り組んでもらいたい」と話している。決して「守備ありき」ということではないことをご理解いただきたい。
• C（Q2質問者）：それを聞いて安心した。この3年間柳下監督が作ってきた攻撃的なサッカーに誇りを持っている。攻撃的なサッカーの方針を崩さずに、来年以降の監督、選手の選択など考えてほしい。

• Q3：三上氏のお話で、「柔軟性を持つこと」が達成できなかった、というお話しがあった。これまでの3年間の中では、（現場に）柔軟性の習得を求めていたけれども現場がそれに対応出来なかったのか、それともそれを求めるまでに至らなかった（ので、まず「攻撃」という武器を作るところに留まった）のか。（強化部としては） そのどちらと考えているか？
• A（三上氏）：2年目までは、武器を作ることに専念して、監督にもそれだけをお願いしていた。ただし、はじめに（柳下氏に）監督をお願いした際に、「最初の数年でその武器を持つことが出来たら、次のステップとして「柔軟性（自主性）」の習得をお願いしたい」と伝えていた。
• 結果、2年かけて（攻撃という）武器を持つことが出来た、と考えている。そこで、3年目となる今シーズンが始まる前に、柳下監督には、次の段階となる「自主性」についても更なる一歩を付け加えてほしい、とお願いした。
• Q3質問者：3年目には、（柔軟性の）習得をお願いしたけれども、現場としてそれを消化しきれなかった、ということか？
• A(三上氏)：もともと今年だけでそれ（柔軟性／自主性の習得）が出来ると捉えていたわけではない。（今年に関しては）その第1歩として、それに積極的に取り組んでほしい、と監督にお願いしたのであって、それが出来なかったことで、監督の能力が足りなかったとは考えていない。しかし、結論としては、現時点ではその課題は達成されておらず、課題として残っていることは確か。

• Q4：柳下監督は2004年就任時、当初2年契約であったと聞いている。2006シーズンのオファーを出したのはいつ頃であったか。またその契約期間は1年間と聞いたが正しいか？
• A（社長）:昨年10月末であった。1年契約だった。
• Q4質問者：今年11月中下旬辺りに、柳下監督から、フロント側から来期のオファーがないというマスコミ報道があった。一方、柳下監督から「来期は札幌の指揮を執る気がない」という話があったことで、それが柳下監督退任の理由となったとも聞いているが。
• A（社長）；クラブからオファーがない、と監督が言ったとの報道については承知しているが、それを本当に監督が言ったかどうかについては、クラブとしては裏付けをとっていない。
• Q4質問者：柳下監督から、来期の指揮を執らない、という話があったのはいつか？
• A（社長）：11月中旬頃であったと思う。常時強化部長、監督との間で話し合いはしていた。その中で、監督から来期についての意思表示があった。
• Q4質問者：HFCとしては監督を変える気は無かったが、監督自身から続投の意志がなかったので、退任となった様に聞こえる。なぜ今年は来年のオファーが遅れたのか？
• A（社長）：今季、監督との契約は1年であった。来期契約をしなかったのは、監督の意志を尊重したため。そういったことを含めてクラブとして総合的に判断した。
• Q4質問者：HFCとして柳下監督への慰留はしなかったのか？
• A(社長)：契約途中の期間であれば、慰留という選択肢もあったかもしれないが、会社としてはここ3年間の結果を踏まえ、次の局面打開をどのようにするか判断し、また監督の意向も踏まえて、続投のオファーをしなかった。

• Q5：来期、強化費5億が4億になる。年俸が下がる選手もいると聞いている。三上氏として、選手の能力にふさわしい年俸（および年俸総額）だと考えているか？
• A(三上氏)：選手の年俸については、クラブの事情によっていろいろ。
• クラブで考えるビジョンと予算の下、選手をどう評価し、どういう期待をしているかを明確に選手個々人にきちんと伝えることが重要と考え、交渉を行ってきた。年俸が下がることでショックを受ける選手もいる。しかし、減額にせざるを得なくなった現実というのは、HFCの今年度までの取り組みの結果であり、選手にも会社側も受け止めなくてはいけない。

• Q6：「フロントvs現場」と良く言われるが、フロントの方が練習を見に来る機会が少ないと聞いたことがある。フロントと現場の歯車をもっと噛み合わせるようにすることで、5段階計画ももっと活かされるのではないか？
• A（社長）：現場とフロントとの間に齟齬がある等という報道等はあるが、我々はそのようには認識していない。練習を見る機会が少ないという指摘がどういったことで出てくるのか分からないが、営業努力をしながら練習の場にも顔を出しており、決して現場との間に垣根があるというわけではない。これからはさらに強化していきたい。フロント、スタッフ、チームが一体となってやっていくということで認識は一致している。選手会の要望で、社長と選手達の懇談を行ったのもその一つの表れ。

• Q7：来期新外国人３名体制でいくという報道があるが、仮に、その外国人選手が抜けてしまったら、来年のサッカーが壊れてしまうようなことはないか？
• A（三上氏）：そのようなチーム作りはしない。

• Q8：今季戦力外通告を受けた選手は3名であった。一方で天皇杯に行っていない選手も6名いる。戦力外の川崎選手は天皇杯で頑張っているのに、宮の沢に残っている居残り選手が、覇気無く練習を続けている。それは非常にサポとして悲しい思いで見ている。川崎をもう一度戦力として考え直すことはないのか？
• A（三上氏）：（強化部としては）選手の能力については、来期戦力となるか否か、皆すべて厳しく観ている。もちろん今回戦力外にした選手についても、今後伸びてきたときに再び戦力になる、再契約するということはあるかもしれないし、サッカー界ではそういった例もある。しかし、現実問題として、来期1年間通して戦力になりうるか否か、その観点で今後も見ていく。

• Q9：（強化部として）三浦監督（候補）をどの様に評価しているのか？
• A（三上氏）：来期の柳下監督の続投が無くなった時点で、今後どういったタイプの監督が必要か検討した：これまで3年間やってきた攻撃的なサッカーをより一層強い武器とするためにも、守備的、組織的なDFをしつつ、攻撃を更なる武器にしていける監督、そして来期厳しいながらもJ1昇格を達成したいと考えているので、その達成経験のある監督、そして選手の自主性を引き続き植え付けてくれる監督。これらの条件を充足するというのが、クラブとしての現在オファーを出している監督候補の評価である。

• Q10：今季、柳下監督は3位に行けるかもしれないと話し、そしてそれに応じて強化費を増やしたが、結局は行けなかった。来年は強化費が減る中で、本当に上を狙えるのか？
• A（社長）：強化費を減らすとしたのは社長の指示。来年度債務が増えるようなことが起こると、仮にJ1昇格の成績をクリアしても、経営諮問委員会を通らないであろう。2年連続の赤字は避けたい。また、2009年から始まる、道や札幌市への借入金返済も、赤字のクラブでは困難になる。単年度黒字をなんとしても達成したい。黒字ならば、返済の繰り延べなどもお願いできるかもしれない。

• Q11：柳下監督の攻撃を高めるための組織的な守備を構築するということだが、具体的なイメージは？
• A（三上）：これまで攻撃を軸としたサッカーを構築してきた。しかし、個人的な能力の高い選手に預けてしまうところもあった。もちろんチームの武器として選手の能力を活かす意味でそれ自身が悪いことではないが、今後は全員の能力を上げながら、チームとして攻撃という武器を持ちたいと考えている。それを実現するために、引いた中での守備ではなく、組織的に守備を構築することで、個人に頼らず、チームとして大きく攻撃力を保つチームを作ることを考えている。
• Q11質問者：リトリートして、ゾーンで守るということではないのか？
• A（三上氏）：まず課題を消すことが大切と考えている。監督候補者には、その課題（組織的な守備）をクリアし、その上で、これまで持っている攻撃を最大限活かせるチームにしてくれ、とお願いしている。もしかすると、キャンプの初めには、リトリートしながらのトレーニングをすることもあるかもしれない。それはあくまでも次のステップに進むための課題を克服するためのもの。それが目指しているサッカーではないということを理解してほしい。

• Q12：借入金の返済の話があったが、返済のステップに入ったときに、どの様な返済方法になるのか?また利息の問題は?
• A（社長）：借入金は道から5億、市から5億。毎年これを返還しながら来ている。利息はちゃんと払っている。返済の方法については、道と話し合いをしているところ。2009年までに支払うことにはなっているが、それを一度に払うことが困難であることは両者とも理解している。道庁に損害を与えるような借り入れをしている訳ではない。財政条件が好転すれば、より多くの返済をすることも可能になろう。札幌市との間では、毎年利子を含め返済をしている。予算の中では、2009年以降、年間2千万程度を順次払っていく予定。

• Q13：これまで3回会議をやっているが、具体的な回答がない。財政赤字を減らしながら昇格を目指すという話だが、赤字をどう減らすか、どうやって昇格するのかについて、具体的な方策を伺いたい。事前にあった3つの質問についても同様。また、社長はサッカーのことは分からないと良く言われるが、もう2シーズンも経過しているのに、それはいかがなものか？
• A（社長）：その質問に今答えるする必要はあるのか？
• C：司会（佐々木氏）：（事前の）３つの質問については既に回答があったと考える。今回の会合の目的は、社長や強化部長を吊し上げるための場ではない。
• A（三上）：来期の強化費は一億減る。しかしその中で、J1に上がることを目標とし、達成したい。それを選手・社員全員に話している。具体的なものとして、私が話せる範囲で、どの程度J1に行けるか、なぜ行けると思っているのかということについて、お話ししたい：
  • この3年間、若い選手の経験してきたことは、プラスである。
  • 組織的な守備が出来れば、これまで構築してきた武器（攻撃）はさらにプラスになるはず。
  • そのようなことが出来る監督を呼び、トレーニングをし、来期までに完成させれば、武器を持ちつつ、安定した戦いが出来るようになり、その結果、取りこぼしの少ない、勝ち点の取れるチームになるだろう。
  • もう一点は、今季フッキという得点の柱がいた。しかし今後、彼のような値段で、あれほど働く人をとってくることは困難であろう。よって、フッキの穴を次の外国人一人で埋めることは困難だし考えていない。現在交渉中の外国人については、新監督とも相談する中で、周りを使える人を考えている。その結果、フッキほど点が取れないとしても、より周りを使うことで、トータルで得点数が上がるようなことを考えている。
• 以上3点をクリアできれば、財政的に厳しい中でも、具体的には勝ち点85、J1昇格を狙えると考えている。
• A（社長）：（赤字削減の方法について）支出を抑えて収入を増やすというのが、赤字を減らす為の方法。大きなスポンサーがバックにあるチームではないので、収入は、チケット収入（動員）、広告費、Jリーグ配分金、これが３本の柱。それぞれ4億円ずつと考えていた。このうち、今年は動員総数は増えたものの試合数が減り、実質減。チケット収入が落ちた。広告費については、今年は10％程度増えている。グッズの販売も増えている。あとはチケットの販売をどうするかが課題。
• そのために、HFCの組織改革を行った。大きな柱は、チケット販売の強化。また、ちょっと違う話になるが、育成、強化、普及それぞれの部門を別に立てて、それぞれが責任を持ってやれるように考えている。将来的には、育てた若手の選手が移籍市場に出せるようになれば、ということも考えている。

• Q14: 現場と強化部の関係について伺いたい。強化部から次期監督候補に、こちらのスタンスを伝えているとのことだが、同時に次期監督から、「こうしたい」という方針／ポリシーが出てくることもあろう。それが双方でバッティングした場合に、どちらの意向を優先するのか？
• A（三上）：ケースバイケースであろう。来期の選手の選択については、監督の意向を取り上げてきた。一方で、将来性ということについては、チーム（強化部）として必要と思う人間を獲ってきている。チーム作りの方針がもしバッティングした場合には、お互いに十分話し合いをした中で、お互いが、「クラブがよりよい方向に行くであろうと思った方向」に決定することになるであろう。

• Q15：チケット収入が落ちているということだったが、その原因はどの様に分析しているか？
• A（社長）：まだ分析途中ではあるが、営業の努力が足りなかったのは大きな要因。またJリーグ全体の観客動員にもかげりが出てきている。どうやって、もう一度スタジアムに観客を呼び戻すかが課題。エンターテイメント性を高めるなど。
  • 第一には勝つゲームをする、エキサイティングなゲームをすることが重要。強化の方にお願いしながら、我々もまたそれをサポートしていきたい。
  • 二つ目の柱は、サッカースクールの全道展開、食育など、あらゆる形で社会貢献しながら、コンサドーレのファンを作っていきたい。それによって、将来のコンサドーレ観客を増やしていくということを地道にやっていきたい。即チケット販売が増えるわけではないが、成果は着実に上がってきている。
• このように、短期的なやり方と長期的なやり方を組み合わせながらやっていきたい。
• コンサドーレサポーターの平均年齢は41歳。Jの中で1番高い。30代シニアの方が多い。それ自体はありがたいことであるが、将来のことを考えると、学生、生徒の方々にスタジアムに来て貰いたい。サッカー協会とも相談しているが、夏のある時期に、少年団の試合や練習日程を調整して、コンサのホームゲームに来させるようなことも考えている。
• 先日札幌ドームで行われた代表サウジ戦の観客は4万人、このうち69.2%＝2.8万人がコンササポだったにも関わらず、コンサのホームゲームには1.4〜1.5万人しか来ない。この（ホームゲームに来ない）ファンの人たちを呼び込む努力をしてこなかったことを反省している。
• 日ハムがこの3年間でやってきたことを社内で見直した。選手が道内199市町村を回る、また月曜日に札幌市内の小学校で野球教室を開いてきた。元々はコンサがやっていたことを下敷きにしたものではあるが、日ハムに先を越されてしまった。検挙に反省し、選手の力を、観客動員に繋げてほしいとお願いし、選手会からも、積極的に参加する旨の返事を貰っている。

• Q16: コンサドーレはJ1に先に昇格しておりながら、現在後発組に抜かれている理由として、問題は３点あると考える：
  • １番目は放漫経営の問題
  • ２つ目はモラルハザード。選手、スタッフに心ない人間や行動があった。（解雇せざるを得なくなった生え抜きの選手について）ユースの時から社会人としての資質を身に付けるよう、きちんと指導してくるべきだった。
  • 3点目は、スター選手の流出。コンサが育てた選手が誰一人ここに残っていない。コアなサポーターはどんな状況でもスタジアムに来るかもしれないが、なかなかスタジアムに来ない層は、J1昇格などの盛り上がりを観にくる人、また代表に入るような選手を観たい人ではないか。今後代表に入る選手が育ってきたときに、チームの宝として頑張って（引き留めるようにして）ほしい。移籍できるような選手が出てくればという話があったが、本当に移籍させてしまって良いのか?周りから「今はコンサにはどんな選手がいるの？」と聞かれて、誰でも知っているような選手の名前を答えられるような人がほしい。スター選手を育てた後、移籍ではなく、財産として良い選手を確保するように努めてほしい。
• A（社長）:
  • モラルハザードについては非常に気にしている。独身寮を作ったのもそのため。
  • スター選手の不在についても実感として持ってはいる。しかしながら、そういった選手を外から呼ぶための金銭的な問題はある。自らスター選手を作っていく方向で行きたい。
  • 生え抜き選手の移籍について、誤解を避けるため再度説明したい。戦力を落とさずに、移籍が可能であり、その移籍収入を還元でき、上方スパイラルが経営的にきちんと図っていけるならば、それはサッカーチームの経営のあり方の一つである。すぐに出来るというわけではないが、そういった方向を考えた上で、移籍というものを考えていきたい。

• Q17: 柳下監督が、若い選手の起用に固執して使い続けた印象があった。それが（J1を目指して）勝負をしていたのか、それともそれら若手選手の育成を目標としていたのか分からなかった。実際にはどうだったのか？
• A（三上）：選手起用に関して、監督が固執するようなことはなかった。外から見ていて感じたことは、常に監督、コーチ陣に伝えていた。その結果変わったこともあったし、変わらなかったこともあった。しかし、だからといって、監督が（選手起用に関して）意固地になっていると感じたことは一度もない。一方で、サッカーへの考え方、指導方法については、柳下監督は太い芯、信念を持ってやっていたと思う。

• Q18: コンサドーレ札幌が目指すサッカースタイルの完成形は？
• A（三上）：いついかなる相手とも、堂々と自分達の武器を持って戦うことが出来るチームを目指したい。ゆくゆくはJ1で優勝争いできるチームにしたいし、その先はアジアがある。しかし、カテゴリーの上を目指すということよりも、自分たちの武器を持って戦えるチームを作りたいという気持ちでいる。

• Q19: 報道で上がっている新監督について。かつてその監督があるチームを率いてJ1に昇格した際には、現在のコンサとは大きく異なるスタイルで勝ち上がっていった印象がある。それは、そこに傑出した個人能力の高い選手がいたからできたこと。しかし札幌にはそういった個人能力の高い選手は少なく、成長過程の選手が多い。補強も思うようにはできないであろう。そういった札幌の事情は伝わっているか？
• A（三上）：伝えている。
• Q19質問者：先ほど触れられた柔軟性を持つという大きな目標の流れの一過程に現在の札幌があり、それを作っている最中であったということも説明されているか？
• A（三上）：伝えている。
• Q19 質問者：来年以降も、（これまで作ってきた）札幌のスタイルを構築していく、という目標を追って行くものと理解してよいか？
• A（三上）：責任を持ってそうする。

• Q20：もし天皇杯で優勝して、1億の賞金が入った場合、（キャンプに必要な？）2千万を除いた残り8千万はどの様に使うのか？
• A（社長）：今は具体的なことが言えない。本当は一億円を会社の損失に当てたいところはやまやまだが、これを獲ってくるのは選手達の頑張り。いろいろ考えながら、これから考えることになる。
• C(Q20 質問者）：お金がないということは理解しているが、出来れば、チームの方に使ってほしい。

• Q21： さきほど（社長より）観戦者の年齢層の話があった。今シーズン学生チケットを販売したが、観客の収入単価や、周辺の学校からの動員、若い層への訴求効果についてはどうだったか？
• A（社長）：数字で表す統計としては、道新研究所、Jリーグ観客調査、道教大などがある。それらを組み合わせてサポーター像を観ている。正確な数字は今手元にないが、学生チケットについては、それほど売れなかった。今季は、札大他の学校、各区のPTAへチケットを配るなどの試みを行った。すぐにこれらが有料の観客増に繋がるかどうかは分からないが、今後繋がってくればと思っている。ただし、若い層が少ないことは確かであろう。若い方のデートの場などに使って貰えれば...

• Q22: 来期の具体的な目標として勝ち点85という数値が挙げられていたが、それが達成できなかった場合の判断はどうするのか？
• A（三上）：結果だけではない。クラブがお願いしたこと（自主性、柔軟性の植え付け）が出来ていたら、それは評価したい。もちろんJ1を目標とし、達成したいと思うが、現在問題としていろいろ難しいところもある。しかし、やり方によっては（4億の強化費しかないチームが、）8億強化費を使うチームにも勝てるだろう。使う強化費の額ではなく、（例えば）10億の価値を持つチームを作りたい。結果だけが判断材料になるわけではない。

• C 佐々木氏：会場の時間の都合により、これで終了としたい。忙しい時期に機会を設けて出ていただいた児玉社長、三上氏に感謝したい。このような話し合いでクラブとサポーターの距離が近くなることは、チームが強くなることに繋がっていくと思う。

（以上）