第52節(最終節) ホーム水戸戦、2-1で勝利
J2リーグ優勝で、来期J1昇格を確定

 札幌が休みだった51節、京都が仙台に勝利したことで、4位仙台以下のチームは昇格可能性を失い、また札幌の自動昇格順位を確保できるか否かも最終節までお預けとなりました。引き分け以上で昇格が決まるとはいえ、もし負ければ3位、J1 16位チームとの入れ替え戦もあるという緊張感のなか、本年度リーグ戦最終節をホーム札幌ドームで迎えることとなりました。リーグ最終節を、これほどの緊張を保って迎えた年はこれまで無かったのではないでしょうか。一方、最終戦の相手となる水戸は、今季アクションサッカーへの転換を掲げ、順位こそ下から2番目と振るわなかったものの、特に終盤戦はよい試合運びで相手チームを苦しめていました。また、選手・サポーターの信頼を集めていた前田監督が今季で退任することになり、その最終戦ということもあって、選手達も、またドームに集った水戸サポも、いつもにも増して気合いが入っていたことでしょう。
 そんな期待と不安が入り交じった中で始まった試合でしたが、前半30分は札幌は全く良いところ無し。昇格が掛かることの緊張なのか、あるいはこれまで溜まった疲れのせいか(前節のお休みで体は休められたかもしれませんが、翌週、雪で十分な練習ができなかったことも影響しているかもしれません)、動きが悪い。先の京都戦の前半よりひどい状況だったでしょう。そんな中、早くも前半11分には水戸のCKから水戸の村松選手に頭でゴール上隅に綺麗なループを決められ、早くも先制されます。ゴール自体はアンラッキーなボールであったかもしれませんが、フワフワと浮ついた雰囲気の中で、あんなに簡単にCKをあげてしまってはいかんでしょう。しかし、これで点を獲らないことには自動昇格圏がおぼつかなくなった札幌は、ようやく徐々にエンジンが掛かりはじめます。そして前半も押し迫った43分、西のヘッドによる折り返しをゴール前に詰めた砂川が胸でトラップ、こぼれたボールをダヴィがかっさらってボレーシュートでゴール。前半のうちに同点に引き戻します。この後ロスタイムの間にもクロスバー直撃のダヴィの惜しいシュートがあったのですが、残念ながら決まらずに後半へ。
 後半は大分札幌がボールを扱えるようになりましたが、それでも決定機はなかなか訪れません。後半15分に砂川に替わって岡本が入り、先の京都戦後半の再現を、とドーム内のサポも期待しますが、なかなかうまく行きません。水戸が札幌の好きなようには「やらせてくれない」こともありましたし、また札幌の選手の動きが京都戦の時よりも悪かったこともあるでしょう。大分疲れが溜まっているのだろうと感じるシーンでした。ひょっとするとこのまま引き分けか…それでも2位の自動昇格圏ならまだいいか…でも万が一これから先の京都戦のように失点してしまうことなどあったら…などと、様々なことを考えはじめていた後半38分、岡本が左サイドに出したボールがダヴィに繋がり、自らゴール前に詰めて相手GKの上にシュート!見事な逆転弾でした。「あ、長すぎたかな」と思うようなボールにしっかり追いつく速さが、ダヴィの最大の武器でしょう。その後はしっかりと守り、時間を使い、そのまま2-1で試合終了。まずこれで2位以上の自動昇格圏を自力で確保です。そして試合直後にオーロラビジョンに出た「J2 Champion」の文字。暫くして他会場の結果が映し出されます。前半戦でリードしていた東京Vは、後半C大阪に追いつかれ引き分け。これにより、最後の最後で、再び札幌が首位に躍り出て、そのまま優勝まで勝ち取ることとなりました。やはり勝負事は勝ちにいくべきものなのでしょう。互いに抱き合い、讃え合う選手やスタッフ達、歓喜に包まれるドーム観客席。例年ならばその後はサンクスウォークがあるところですが、今年はその前に優勝チームの表彰式が行われます。そして後援会MVPとして表彰されるGK高木選手。胴上げで宙を舞う三浦監督。どれも本当に嬉しく、また楽しいシーンでした。試合直後は泣いていた選手達もやがて笑顔に代わり、子供達をピッチに招き入れてのサンクスウォークへ。三浦監督は先頭をてくてく歩いて早々に一周してしまいましたが、今シーズンを通してはじめて見るような笑顔でした。その後ろには優勝のボードを持ってはしゃぐ選手達。そして、社長に招き入れられるようにピッチに上がった石水さんが、誰よりも一番泣いていたかもしれません。ドーム中から巻き起こる拍手。今季ホームで初めて聞く「好きですサッポロ」。ゴール裏をスタートに何度も行き交うウェーブ。これほどまでに楽しい最終戦は、チームがJ2に落ちてからスタジアム通いを始めた私にとっては初めての経験でした。
 その後も、宴会/祝賀会はビール園で、また宮の沢でと続いていきました。その裏で静かにオフィシャルサイトに公開された戦力外の選手達。彼らもまた、今年を含め数年間にわたって、札幌のために働いてくれた選手達でした。感謝とねぎらいの言葉を贈ると共に、今後サッカー選手を続ける人達には、次のステージが早く決まって、そこが輝ける場所となることを心より願います。

 あの歓喜の瞬間から1週間が経ちました。時間が経つにつれて、その後の選手の動きなど、いつものオフシーズンと同様に辛いニュースも入ってきますが、とりあえず今年の札幌はこれでお終いです。試合後の芳賀主将の挨拶にもありましたように、J2優勝、J1昇格は、決してゴールなどではなく、ようやく我が国のサッカーにおけるトップリーグで戦う機会を得た、スタートです。来年は、今年ほど勝ち試合が観れるとは限りません。もっともっと厳しい試合も増えることでしょう。イライラするようなシーンも増えるかもしれません。選手やスタッフ、チーム、そしてHFCには、来期J1でしっかり闘うための準備を進めていただくことは当然ですが、我々サポーターも、また気持ちを引き締めて、これからも自分らのチーム「コンサドーレ札幌」を、しっかりと、熱く支え続けていきましょう。
 今年一年、あるいは皆様が「自分はコンサのサポーターだ」と思って以来の、たゆまざるサポート、本当にお疲れ様でした。来シーズン、またホーム札幌を初めとする日本全国各地のスタジアムで、あるいは観戦会やネット、メーリングリストその他でお逢いいたしましょう。

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